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Channel: Lycaon ゆうき オフィシャルブログ「狂気にも似た淫らな欲望」Powered by Ameba
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少年、少女。

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取り壊し途中の宿泊施設。

浴場や化粧室、寝室や何かの会議に使われた様な広間、よくわからない段差や飛び出た鉄パイプ、剥がされた壁紙や床はコンクリートが剥き出しの状態。

かつてはたくさんの人がここを歩いていたのかとしばらくそんな事考えながら歩いていた。


小さな部屋の隅にある汚れた浴槽。

その中に入り部屋を眺めていると次第に不気味さが増してくる。


急に怖くなったからすぐに部屋を後にする。


天井から飛び出る電気配線、静かな寂れた廊下であったであろう長い通路を歩いていると左に道が曲がっていて、どこに続くのかもわからないままそれに従った。

やがて曲がり角に差し掛かり、曲がった先に何があるかもわからないまま狭くて灰色の通路を左に曲がる。

そして左に曲がる瞬間、視界の左下に何か強烈な視線を感じた。

しかし何もあるはずがないと思い先に進む。


でも強烈な視線は気のせいじゃなかった。

背中に突き刺さる何か得体のしれない重たい気配から寒気がする。


怖くなって焦りつつも早足で出口の階まで急いだ。

階段に差し掛かり、やはり背後の気配がどうしても気になる。

重たい気配が何なのかを確かたい。

だが後ろを振り向く勇気が無い。



だけど階段を曲がり降りる時に斜めにすれ違いざまに確認する事ができる。


何度か階段を降りる時に影が見えるがはっきりとはわからない。

出口のある階に近づき最後の階の階段を降りる。



すれ違いざまに首を左にまわし気配のする方へ視線を向けた。


そこには顔が二つあった。



二つともきっちりと顔を真横を向きながらこちらをみながら階段を降りている。


寒気がした。


それは明らかに人間じゃなかったから。


日本人形みたいな細い目に鋭い視線をしたおかっぱの男の子と女の子。


あまりに無表情な生気のない顔に恐怖心から走り出す。


絶対に後ろを振り向いたらダメだ。

そう確信しながら出口まで死にもの狂いで走った。



なんとか出口から外に出る事ができた。



同時に重たい気配も突き刺さる視線もなくなった。




ふと立ち止まり振り返ってみると取り壊し途中の建物の出口でぼーっと立ち尽くすあのおかっぱの男の子と女の子が手を振っていた。


突き刺さる視線と生気のない顔で。








久しぶりの名古屋。

僕であり僕じゃない気もしつつやっぱり僕でした。

元の自分の体に戻る儀式みたいなもの。


みな協力してくれてありがとう。


次回は更に。



「Absolute Domain -絶対領域-」

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